スティーヴン・キングの小説を原作にスタンリー・キューブリックが1980年に発表した「シャイニング」は、前作「バリー・リンドン」で興行的に失敗した彼がホラーという商業的なジャンルに初めて挑戦した作品で、多くのアーティストに影響を与えた名作として語り継がれている。本作は、数々の謎が散りばめられた「シャイニング」を多角的に解明、筋金入りのキューブリック研究家たちのコメンタリーとともに進行していく。ビル・ブレイクモア(ジャーナリスト)、ジェフリー・コックス(歴史学者)、ジュリ・カーンズ(作家)、ジョン・フェル・ライアン(ミュージシャン)、ジェイ・ウェイドナー(作家、映画製作者、神秘学者)といった5人の識者が斬新かつユーモラスな極私的「シャイニング」論を披露。ある識者は画面に何気なく映り込んだように見える“ふくらし粉の缶詰”や“スキーヤーのポスター”に注目し、アメリカ先住民やギリシャ神話にまつわるメタファーを検証する。また、映画の舞台となったオーバールック・ホテルの見取り図、ダニー少年が三輪車で走り回ったルート図を作成し、そこから判明した様々な矛盾や意外な観点を提示。さらには、実はキューブリックはこのホラー映画を利用してナチによるホロコーストの蛮行を描こうとしたのではないか、アポロ計画におけるNASAの壮大な陰謀を暴露しようとしたのではないか、という衝撃的な仮説までも飛び出す。そして、もしも「シャイニング」の通常再生と逆再生のふたつの映像をオーバーラップさせて鑑賞したらどうなるか、という奇想天外な解析も行われている。(出典:dtv)
ロドニー・アッシャー